この世の限り。(前編) | こんなんでいいのぉっ!?

この世の限り。(前編)

2010年 11月3日。

今日は、貴方に『嫌い』と言われた次の日です。



この間家を出て行く時にキスを拒まれ、
私に見せた作った笑顔を不安に感じた。
嫌な予感は当たるものだ。
もっと早く気付くべきだったんだ。


その日、新都心のホームで、私は激しい動悸に襲われた。
翌日会いに行こうとした私に、勘弁して欲しいと切り出す。
他人行儀に面倒臭そうに話す貴方に、はっきりと言われた。
別れると私が死んでしまうから別れない。
死ぬ時に遺書を書こうとしたから、そこに貴方の事を書かれたり、
関わっていた事実から、仕事に支障を与えて欲しくない。
誰も今、好きな人なんか居ない。
そして私が嫌いになった。
あの日、本当に気持ちが離れた、と。

仕事場に着くからと言われ、電話を切った。
別れない、別れ話だった。



すぐによなりーに電話をして、助けを請う。
会う事になった。

電車はすぐ来る。
3つドアのラインの前に立ち、線路を眺める。
砂利の上に冷たそうに這っていた。
その周りに雑草が、点々と生えている。
『ここに飛び込んだら痛いんだろうな。。。』
そう思った瞬間、電車が左から入ってきた。
本気で死のうとしたわけではないが、吸い込まれそうになったのは事実。
頭が麻痺して、そこに居る実感も、現実に居る実感も無かった。

大半がスーツ姿の男性が居る車内は、
ラッシュ時手前ということもあり、少し混んでいた。
携帯を見つめ、よなりーに着時間の連絡をした。
それから、貴方にメールをした。(原文まま)

『出勤前の忙しい時間にごめんなさい。


早くはっきり言ってくれれば良かったのに。。。


私は、あなたに笑ってて欲しかった。


そんなあなたのそばに居たいと思った。


私を永らえさせる為に別れないとするなら、ずっと別れないってことになるよ。


私は、どんなことがあってもあなたを見捨てたりしない。

あなたを看取るのは、私だから。


嫌いな人間をも利用するのがあなたなら、もっと私を使ったらどうですか?


一方的なことばかりだけど。。。

こんな話、機械でするもんじゃない。



明日、悪いけど多分行きます。

ちゃんと会ってください。

お願いします。』


くらくらした頭で、意識を保つのに精一杯だった。
吊り革が、私の全てを支えてるような気分だ。
考える→泣く→こらえる。
繰り返していたら、待ち合わせの地元の駅に着いた。



よなりーはまだ来ていなかった。
しかし、急に呼び出したのに、すぐに駆けつけてくれるなんて本当にありがたい。

階段近くの柱に寄りかかって、ロータリーを見つめていた。

連絡が来て、まもなく落ち合う。
力無く歩いて、車に乗り込んだ。
『どうしよう。。。嫌いって言われた。。。』
来てくれてありがとう。
そう告げる前に、気持ちを吐き出してしまった。
こらえていた涙が少し滲んだ。
同時に、崩れるように抱きついてしまった。
心配そうな声で語りかけながら、私を抱きとめてくれた。

ロータリーに車を停めたまま、私はその場で話し始めた。
自分を責める言い方も、貴方を責める言い方もした。
訳がわからない、という結論も出た。

そして、私の世界が終わる予感と、昔の自分に戻る気がした。

一通り話していたら、少し落ち着いて、
人様の迷惑になる(往来のある所)ということに気付いた。
移動しよう、と提案すると、カラオケに連れて行ってくれた。
個室だし、泣いても大丈夫だからって。



この間、ハロウィンパーティーしたシダックス。
偶然にもその時と同じ部屋に案内された。

フロントでの作った(表向けの)私を解除して、また語り始めた。
よなりーと一緒に話しているうちに、わからなくなってきた。
タバコの煙が漂う部屋で、複雑な想いを整理しようとした。
隣から、HIPHOPのビートが洩れる。


中編に続く。